【お山 三の峰 許しの祈り】
あなたはお山の下之社 三ノ峰 で
怨んでいる人のことを
祈れるだろうか？
大嫌いで 憎み、蔑み、妬み、恨んでいる
その人の幸せを祈れるだろうか？
伏見稲荷のお山の三の峰・下之社 は
白菊大神さまとしてお座りいただく
霊地 ご神蹟であり
稲荷山の巡禮で
全てのご縁を大切に背負い直した自分から
妬み恨む相手の 幸せを祈ることができるかと
少し立ち止まって 心で手を合わせ
自問自答しながら、祈る場所だ。
こんな奴のことを？！
こんな奴の幸せなんか
絶対に祈りたくないという
その大嫌いな誰かの
幸せを、祈ることができる聖地。
逆もある。
自分のことを嫌いな人の幸せを祈る。
自分をいじめてくる人の
自分に嫉妬を向ける人の
自分に理不尽を強いる人の
自分を蔑み軽く酷く扱う人の
その幸せを祈る場所だ。
勇気もいる。
感情も山ほど溢れる。
美しい顔は保てないかもしれない。
涙も鼻水も 出るかもしれない。
その祈りのきっかけを得て
抵抗しながらも
大嫌いの理由を一つ一つ紐解き、
自分のものとして見つめてゆく作業だ。
感情によって支えられていた
固定観念の静かな瓦解が起きるまで、
そこにもう一人の自分を観るまでの、
深い、深い、許しの祈り。
あなたを苦しめるひと、それは誰？
あなたが苦しめるひと、それは誰？
その人の幸せを祈ることで
何を奪われると思っているのだろう。
その人の幸せを祈ることで
何を幸せだと決めつけているのだろう。
そんなに苦しい想いを抱いて
よくここまで生きてきたね。
あなたが幸せでありますように。
そう祈れたとき、誰よりも深く
この自分が癒されてゆく。
他でもないそれは
自分自身への、
深い、深い、許しの祈り。
(伏見稲荷大社 伏見山 三の峰)
記: 松本育子
