● 不倫、フリン、ふりん?

愛染様はね、
「不倫」と呼ばれる、恋愛を「揶揄」した言葉は、
実は、
そんな恋愛がしたいけど、できなかった人たち「嫉妬」して、
あるいは、試みたけど大失敗した人たちが、
自分たちの性善説みたいな、社会適合倫理を作って、
それ(倫理)に不適合!だとし、
「お前は、とんでもなく酷いことをしてるんだ!」と罵倒するための
憎悪に満ちた単語だということをとてもよくご存じで、

だから、愛染様は
「フリン」という言葉を使わず、「難しい恋愛」だとおっしゃいます。
婚姻という、社会的契約の不履行にも、善悪はなく、
いろんな事情があるだけだからね とおっしゃいます。

だからと言ってその「不倫」を応援、推奨しているわけでもないので、
それは理解してくださいね。

その他、略奪愛、淫乱、スケベ、不実愛、内縁、執着、あげまん、さげまんなど、恋愛や性に関する人の尊大な個性を比較、揶揄する言葉の数々にも、
それを創った人、使う人に諭しを与えようとなさいますね。

恋愛や性ほど、人間が執着して止まない、素晴らしいものはありませんから!とおっしゃいます。


 

● 相手を食ってしまうほどの 愛しぬく悟り

愛染明王さまは、難しい恋愛でも、ややこしい恋愛でも、複雑な性のことも、
逃げたりいい加減にしたりせず、とことん感じ切って、
やり切った自分の悟りにして、

その恋愛が成功しても、成立しなくても
人生の豊かな経験として、成就させてほしいとの願いを
紅顔赤身のご仏体で意識を著し、

ややこしい相談を持ち掛ける人々を迎える、三面六臂の構えをもって、
密教で唯一、そのお仕事をしておられる仏さまです。

なぜそんな明王様になったのかというと、

かつて、好きで好きででたまらない男性への想いが募って、
その男性を、食べてしまったという、
男と女の恋愛が、臨界に達しらどうなるんだろう?って
究極の恋愛を、ご修行として、繰り返し経験されているからなんです。

女性でしたら、少なからずこのお気持ちがわかると思うのですが、
そこまでのご修行を重ねられた仏さまは、他にはいらっしゃいませんので、

観音様もお不動様も、「人」についてはわかるけど、
人間の「男と女」のことについては、愛染様に聴いてほしいと言われるくらい、
愛染様を頼りにして尊敬しておられます。


 

● 成就には他人の物差しは必要ない

ですから、ややこしい恋愛をしている してないではなく、
恋愛というのは、どんなものでも 簡単なものは無いのですから、
自分の気持ちの「固め」であったり、

自分と誰かを、勝手に比較して、自己卑下に陥ったり、

「正誤」や「善悪」という、他人のモノサシで 苦しんだりしているのなら、
ぜひとも 愛染様をおたずね いただきたいと思うのです。

とにかく
「やり切る」という、人としてとても難解な作業に
智慧を貸してくださる 仏さまですから、
ご先祖さまや 縁故の方々を 連れて、逢いに行ってください。

巡禮記でも機会があれば、神戸の須磨寺、浅草寺、江の島、目黒不動尊、広島の厳島、熊野青岸渡寺の愛染様のご案内をしていますので、ご一緒くださった方も多いと思うのですが、

恋愛というものを 大切に切なく感じ切っていただき、
ご自分の「性」に他人を介在させて、何かと比較したり、
長短善悪濃淡をコントロールされるもの ではないんだということ、

そしてなぜ、空海さまが いつも愛染さまを傍に置いておられたのかという理由も含めて、しっかりと腑に落としていただけるように 先達させていただいております。

掲載させていただいた画像は、神戸・須磨寺・正覚院本尊の愛染明王様です。

田中が5歳の時からのお付き合いとなります。
この紅い愛染様は「お前立(まえだて)」さまで、ご本尊は後ろの小さな厨子の中に秘仏となっておられたのですが、57年ぶりに副住職様にご開帳いただきました。