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閻魔大王さまの浄玻璃の鏡

投稿日:2019年8月27日 更新日:

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閻魔大王のじょうはり【浄玻璃】 の 鏡
浄玻璃の鏡を国語辞典で調べると
こんな風に解説が出てきます。

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① 仏語。地獄の閻魔庁にあって、死者の生前の善悪の所業を映し出すという鏡。
② ごまかすことのできない澄みきった眼識。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について

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↑『閻魔と地獄太夫図』(河鍋暁斎)亡者の生前の所業を映し出した浄玻璃鏡を覗き込む閻魔の姿。wikiより引用。

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また、有名な地獄の絵本、
『じごくのそうべえ』(田島征彦 作/上方落語 地獄八景より)の中でも、閻魔様の後ろにドーンと控えているのが、浄玻璃の鏡です。

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絵本の中ではこんな会話が。

「あれが閻魔大王や」
「えらい顔しとんのう」

「後ろにあるのが浄玻璃の鏡や。
あの鏡に今までやった悪いことが
全部映ってしまうんやさかい嘘言えへんで。
嘘言うたら舌抜かれるぞ」

「ほんまに生きとる間に、
もうちっと善いことしといたらよかったな」

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こんな、そうべいたちのように、
人は死んだら、57日目に閻魔大王さまに
会うことになり、浄玻璃の鏡の前に立って

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ここでいいことも悪いことも
生き様全部が映し出されるのを見て
客観的に自分の人生を振り返り、

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自分と自分の関わった人たちの心の中まで
そのまんまを観ながら色々感じるのだそう。

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閻魔大王さまは、地蔵菩薩さまと同じ方で、

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天国or地獄行き、を一方的に
裁かれるのではなく、

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人に、自分の生きた(生きている)世界
そのままを、大きな広い視点から
テレビのように客観的に観せることで、
自発的な魂の気づきや学びを促す仏さまです。

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自分のことは見えている。わかっている!と
思ってても、生老病死などの肉体の変化や、
心が迷子になるような悩み苦しみ不安で、
人の視点は簡単に狭く暗くなったりして
光を忘れてしまいます。

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真っ暗な闇の中の小さな丸い穴からだけ、
見える世界を「自分の世界」と思い込んで
判断していることも、
たくさんあると思います。

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でもそんな時でも、
小さな穴の少し外側には、
私に向けられた様々な愛や助けがあったり、
ニアミスの危険から護られていたり、
知らず識らず誰かを傷つけていたりします。

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閻魔大王さまが死者だけでなく、
祈りに来るすべての人に
浄玻璃の鏡を見せられるのは、

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それに一つずつ
正誤や善悪をつけるためではなくて、

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わたしたちの観える世界を拡げるため。
光明、は仏様のお智慧のことですが、
自分を生きていると思い込んでいる、その
世界に少しでも光を明るく当てて、
もっと大きく広く、あるいは深く
この魂で旅するため。

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芋虫の視点から見えることと、
蝶の視点から見えることが違うように、

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同じあなたのいのち(魂)を生きながら、
色んな見方ができるんだよ、と
教えてくださるため。

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浄玻璃の鏡は、あなたの世界に出てくる
すべての存在であり、その関わりのなかで
映し出されるものを、目をつぶらずに
しっかり観なさいよ、と


このいのち生きる勇気を思い出させるため。

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そんな風に、感じます。

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閻魔大王さまは、色んな仏閣で祀られて
いますから、ときどき、手を合わせに行って
浄玻璃の鏡を観せていただくのも
いいですね!

 

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巡禮記  松本育子

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